劇場は閉まっているが、おとなしく黙っている劇場ではない。文化は人を豊かにするというのがフランス人の考え方。こんな時だからこそ、テレワークの合間に文化に触れて気持ちを落ち着けようというわけだ。ネット配信なので、この機会に海外の舞台作品をみるのも良いだろう。また、9月からの来シーズンの演目も公表されている劇場が多いので、折に触れて見てみるのも悪くない。英語版で掲載している劇場が多いので、怖がらずにトライ!
主な劇場での配信は以下の通り(日本とフランスの間に7時間の時差があるので、配信時間も考慮してください)
また、予定は変更されることもあるようです。
~パリ・オペラ座~
以下のURLからもアクセスできます
https://www.operadeparis.fr/magazine/a-revoir
オペラ「セビリアの理髪師」4月6日~12日
コンサート「チャイコフスキー」配信中5月3日まで
バレエ「ジェローム・ロビンスの夕べ」4月13日~19日
バレエ「シンデレラ」4月18日~6月19日
オペラ「ホフマン物語」 4月20日~26日
オペラ「カルメン」4月27日~5月3日
いずれも初日はフランス時間の夜7時半から公開
バレエ「ジゼル」現在配信中(8月5日まで)
「ジゼル」のドロテ・ジルベールが出色。ビデオで見ても感動するほどなので、日本公演でもさぞかし素晴らしかったのだろうと思う。アルブレヒトはマチュー・ガニオ、ヒラリオンのオードリック・ベザール、ミルタのヴァランティーヌ・コラサントともに適役で見応えがある。
*4月2日に配信が終わってしまったが、「白鳥の湖」でのロッドバルト役のフランソワ・アリュが素晴らしい。ビデオだと細かな表情が見えて、演技の細かさに驚かされる。白鳥/黒鳥がレオノール・ボラック、ジークフリード王子はジェルマン・ルーヴェ。
~シャイヨー国立舞踊劇場~
バットシェバ舞踊団、勅使川原三郎、ダミアン・ジャレ、マランダン・バレエビアリッツなど、過去に同劇場で上演されたの作品が見られます。フォーサイスとのインタビューも。
~バレエ・プレルジョカージュ~
ホームページ右下のニュースレターを申し込むと、週替わりで作品の抜粋あるいはリハーサル風景が見られます。Coulisses du spectacle をクリック。
例えば、
「グラヴィテ」
「ラ・フレスク」
「ラ・フレスク」は津川友利江さんが主役のバージョンです。
また、ニュースレターを受け取った人には、指定された作品が見られる特典があるようですが、事前予告はなく、当日に発表され、先日は24時間限定、指示されたパスワードを入力で「フレスク」が配信されました。
~モナコ王立モンテカルロバレエ団~
4月4日で終わってしまったけれど、「LAC(白鳥の湖ジャン=クリストフ・マイヨー版)」は見応えがありました。マイヨーの発想と振付の豊かさに改めて感心。悪魔役のベルニス・コピエテルスは圧巻。女王役の小池ミモザさんも素敵でしたが、舞台だともっと遊んでくれて、踊りも素敵でしたが、演技が素晴らしく、目が離せなかったのを思い出しました。
オーケストラだって頑張っている。それぞれの自宅から演奏してのミニコンサートも悪くない。
リヨン国立管弦楽団の26人楽団員が、外出禁止令下での小コンサートを披露
フランス国立管弦楽団がラヴェルのボレロを演奏
その他にも期間限定で配信している劇場やバレエ団があるので、この機会を利用するのも良いでしょう。追加情報は下記にリンク先を追加いたします。
モンテカルロバレエ団(4月11日フランス時間の19時まで)
「ラ・ベル」ジャン=クリストフ・マイヨ振付
ネット配信は、バレエ団のホームぺージではなく、フランス3チャンネル・プロヴァンス・アルプ・コートダジュールのホームページから探すのが最も簡単な方法のようです。
バレエプレルジョカージュ(4月6日の週末まで)
アンジュラン・プレルジョカージュのインタビューと作品紹介
上記リンク先には配信期限があるものも含まれています。
フランスは現在外出禁止令が出されている。これが日本でいうロックダウンと同じものかどうかわからないが、フランスの現状を簡単に報告しよう。
外出禁止といっても、生活に必要最低限の目的なら外出はできる。食料品の買い出し、出勤、長期療養のための移動、裁判や法的な目的、子供や高齢者の援助など。また、自宅から半径1キロ以内、1時間以内の外出は健康維持として認められている。犬の散歩も含まれるが、羊、鶏やうさぎを連れていた人が罰金を取られたという噂もある。外出時には所定の様式の外出許可証を自分で記入し、身分証明書とともに携帯することが義務付けられており、違反すると罰金罰則の対象となる。あまりにも違反者が多かったため、罰金はあっという間に値上がりし、現在裁定が135ユーロ(約1万5千円)、15日以内に再度違反した場合は200ユーロ、支払期間以内に罰金を納めない場合は450ユーロ、30日以内に4度の違反をすると3,750ユーロの罰金に加えて6ヶ月の禁固刑と厳しい。また、許可証の記入が不十分でも罰金の対象になるという厳しい措置が取られている。それだけ深刻だということだが、規則さえ守れば問題はない。また、ようやく予防のためのマスクは効果があることがわかり、現在では外出時にはマスク着用が奨励された。ウイルス対策用のマスクは医療関係者優先で配布されるため、一般人は家庭で作れるマスクを着用することになる。顔を隠すのはテロリストという認識や、これまでマスクをつける習慣がなかったため、マスクをつけるのは日本人などのアジア人観光客と見られて、スリやひったくりに狙われやすかったが、これからはマスクをしても狙われる機会は少なくなるのではないかと思う。
商店は食料品店、薬局、タバコと新聞の売店、銀行以外は全て閉まっていて、窓口の一部を閉めている所もある。役所や電話会社など、電話での応対のみにするところが増えている。流通は安定しているので、スーパーの品揃えはいつもとほぼ変わりなく、買いだめする必要はない。最初はパニックした人たちがスーパーに押し寄せて混乱していたが、1週間たったらいつも通りに買い物ができて、愚かな行動をしたと反省する人多数。
商店によっては人数制限をしているところがある。列を作るのも、1メートル以上の間隔を取ることになっているので、長蛇の列に見えるが、見た目より人数は少ない。自分を守るためなので、誰も文句を言わない。買い物は1家族につきひとりの入場のため、同伴者は店内に入ることができない。
車による公害が減った利点もあるが、家庭内の不和も増大。家族で話し合って解決するのが難しい場合のホットラインが開設されている。
また、詐欺師のアイディアは尽きないそうで、偽警官による検問で罰金を取るとか、消毒や検診と偽って偽医者が家庭を訪問して料金を要求する事件も報告されている。
うつさない、うつされないが原則。皆様もどうぞ最新の注意を払って健康を維持してください。