続々と来シーズンのプログラムが発表されているが、お得なチケットの購入情報。多くの劇場が、アボンヌマンという、まとめていくつかの公演の切符を購入して会員になると、劇場発行の雑誌を送ってもらえたり、全ての公演が安く見られるという制度を取っているので、長期滞在する人、短期でも何度も来る人はこの制度を利用するとお得!
しかも会員手数料なし! 例えば、2週間のパリ滞在で、テアトル・ド・ラ・ヴィル/アベス劇場のダンスと芝居の公演を4つ見るのであれば、アボンヌマン契約をする事をお勧め。その後、07年のシーズン終了までに再びパリに来て、会員カードを窓口で見せれば、全ての公演が割引になる。席数に限りがあるので、希望通りにならない事もあるので、早めに申し込むこと。
テアトル・ド・ラ・ヴィル/アベス劇場
コンテンポラリーにおいては、パリで一番気になる劇場だ。芝居が17演目、ダンスがアベス劇場と提携公演を含めて35演目、音楽が16演目、民族音楽が24演目。来シーズンも内容の濃いプログラミングで、どれを見に行くか選ぶのが難しい。ダンスに関しては、リバイバル作品が例年に比べて増えたようで、マギー・マランの名作「メイB」、アクラム・カーンとシディ・ラルビ・チェルカウイのデュエット「零度」、そしてピナ・バウシュも新作以外に「カーネーション」を上演する。それ以外の恒例のカンパニーとしては、ヴィム・ヴァンデケイビュス、ダニエル・ラリュー、フランソワー・ヴェレ、エミオ・グレコ、コーエン・オーギュスティネン、ジャン・ローワースとニードカンパニー、アクラム・カーン、ローザス、そして世田谷パブリックシアターとの提携公演となるジョセフ・ナジの「遊」。アビニヨンで見られなければ、ここで見られます。それ以外で気になるのが、漫才デュエットとして人気のあるロゼール・モントロ・ギュベルナとブリジット・セスコンビ、そしてローザスの池田扶三代とベンジャミン・ヴェルドンクとアラン・プラテルの三人のプロジェクト。これは正直言って想像がつかないが、見てのお楽しみ。シニカルな笑いで人生を語るピーピング・トムがやっとプログラミングされたのは嬉しい。光と影を利用した作品が特徴のブリス・ルローも気になる。円熟のダンサーと言えば、もとレスキスのジョエル・ブーヴィエのソロ、キレのいいダンスで見せるアクラム・カーンなど、どれもこれも見たくなる作品ばかり。これ以外に、芝居の分野に分けられてしまっているが、サーカスも是非お勧め。チャーリー・チャップリンの娘のヴィクトリア・チャップリンと、彼女の息子のジェームス・ティエレがそれぞれ作品を上演するというのも面白い。喜劇の王の子孫は、サーカスで人生を語るのか。そしてカンパニー111。これもテンポの良いアクロバットで人気がある。ちなみに、フランスでサーカスと言うと、アクロバットを基本とした役者が演じる公演で、動物は出てきません。アボンヌマンという、事前にチケットをまとめて買うと安くなる制度がフランスにはあるので、是非利用したい。また、若者割引は、太っ腹にも今年から年齢を引き上げて28歳までとしたので、28歳未満の人は割引がある事を覚えておこう。
パリ・オペラ座バレエ団
ここ数年、あっと驚くプログラミングで賛否両論を呼んでいるオペラ座。来シーズンの驚きは、ロビン・オーリンと歌舞伎というところだ。エイズをテーマにした社会批判の強い作品でその名を挙げ、最近は政治的というより、ダンサーのキャラクターを引き出したコミカルな作品で人気がある。その彼女が天下のオペラ座で何をしてくれるのか、ちょっとハラハラドキドキ。一方、昨年シャイヨー劇場で演じた市川団十郎が、「勧進帳」「口上」「紅葉狩り」の3作で、オペラ座の歴史上初めての歌舞伎公演をする。招待カンパニーはシュツットガルト・バレエ団。オペラ座バレエ団への新作振付けは、ベンジャマン・ミルピエとビアリッツバレエ団のティエリー・マランダン。主な古典作品では、パトリス・バート版「コッペリア」、コラリー/ペロー版「ジゼル」、ノーマイヤー版「椿姫」、ヌレエフ版「シンデレラ」と「ドンキホーテ」、フレデリックアシュトンの「ラ・フィーユ・マル・ガルデ」など。以前は2週間前からしか切符の窓口販売はしていなかったが、今年から予約方法によって販売開始時が異なるので、要注意。
シャトレ劇場
バレエのプログラムは少ないが、内容が濃いので目を離せないシャトレ劇場。今年は、ビデオとダンスの融合で人気のあるモンタルボ/エルヴュ振付けのコメディバレエ「レ・パラダン」、アメリカン・バレエシアターとモナコ王立モンテカルロ・バレエ団が招聘される。ABTは、毎日上演演目が変わる。
シャイヨー国立劇場
ホセ・モンタルボがダンスの芸術監督になってから、ダンス部門が充実してきた。フォーサイス、ガロッタ、ドウクフレの名前が最初に目に入るが、それ以外では、ブランカ・リー、アブー・ラグラ、ドミニク・ボワヴァン、バロックダンスの一人者ベアトリス・マッサン、人形劇のフィリップ・ジェンティーなど。フランスに何度も招待されている梅田宏明は日本では公演しないので、この機会に是非。
テアトル・ド・ラ・シテ・アンテルナシオナル
国際大学都市の構内にある劇場。これから脂がのりそうな作家を招聘する事が多く、今まであまり外れた事がないので、聞いた事のない人の作品でも行って見る価値はある。気になるプログラムは、今人気のサーカスの新人公演。いくつものカンパニーが出るので、これからのサーカスの流れがわかるだろう。アルバン・リチャードの「ディスペルス」は、すでにランコントルで上演していて、息の長い作品になりそうだ。私のお気に入りは、フォンテーンヌの寓話シリーズ。たくさんの振付家がフォンテーンヌの寓話を題材にして創った作品で、1公演につき3作品が上演され、これが4パターンある。バロックからヒップホップまで、思いもかけない寓話に出会うかも。地道だが確実に才能を伸ばしているパコ・デシナの作品には、松山典子も出演する。想像がつかないのが、サッカーの試合を題材にしたピエール・リガルの「試合をやめろ」。毛色の変わったダンスである事は確か。
CND/国立ダンスセンター
パリの国立ダンスセンター。ダンス公演は若手振付家の作品が多いが、ロビン・オーリン、デボラ・ヘイ、ライン国立オペラ座バレエ団、エルヴェ・ロブなどの中堅公演もある。また、公演だけでなく、展示やワークショップ、オーディションもあるので、常に情報はゲットしていたい。ボリス・シャルマッツと活動を共にしているダンサーのジュリア・シーマの「Visitation」が上演されるが、この作品は批評家組合の今年の振付新人賞を受賞している。
ラ・ヴィレット
CNDパンタンに行く途中の、メトロ5番線のポルト・ド・パンタンで降りれば、VILETTE公園。この中には、多目的ホールや、サーカス小屋、音楽博物館などがたくさんあり、夏には名物の無料屋外映画祭があるなど、たくさんのイベントが詰まっている。絶対お勧めなのは、サーカス。動物が出てくるのではなく、今注目のコンテンポラリーダンス・アクロバット版みたいな作品がたくさん上演されるので是非。
バスティーユ劇場
若手の実力派が輩出される事で有名な劇場。要チェック。
エトワール・ドゥ・ノール
小さい劇場だが、若手の才能のある作家の作品を見せてくれるので、要チェック。
*** ちょっと郊外の劇場 ***
シューレーンヌ劇場ジャンヴィラー
ここは何と言っても1月に行われるシテ・ダンスシリーズが必見。15回目を記念して行われるエクラット・ド・ダンスは、中堅振付家の競演。コンテンポラリーの振付家がヒップホップダンサーに振りつけるシリーズのシテダンスヴァリエーションは毎年面白いものを見せてくれる。ヒッピホップグループの公演の他、アフリカと中国の若手振付家によるコンテンポラリー/ヒップホップ公演、超人気のモンタルヴォ/エルヴュカンパニーなど。パリ郊外だと聞いて恐れるなかれ。シャルル・ドゴール広場から無料送迎バスが往復出るので、安心して行けます。
メゾン・デ・ザール・クレテイユ/クレテイユ芸術館
若手の才能のあるアーティストを紹介している、お気に入りの劇場のひとつ。ダンスだけでなく、芝居やコンサートもあり、ホールは常時展示をしているので、建物全体が芸術している感じ。パリの郊外だが、メトロ8番線の終点なので、パリ市内有効の切符で行けるし、帰りはバスティーユまで無料バスが出ているので、怖がらずに行って下さい。
フォーラム・キュルチュエル・ブラン・メニール
サンカンタン・オン・イヴリン劇場
*** 地方に行ってもダンスは逃しません ***
クレールモン=フェラン劇場
地方の劇場を侮ってはいけない。この劇場は、フランスで唯一、ピナバウシュの「コンタクトホーフ65歳以上バージョン」を招聘した劇場。今年はどんな驚きがあるかと思ったが、普通にいいものを選んでいたという感じ。ダンスでは、アントニオ・ガデス舞踊団、ジョージ・インク、ジュネーブ大劇場バレエ団、アンジュラン・プレルジョカージュ、ダニエル・ラリュー。そしてサーカスのジェームス・ティエレ。来シーズンのプログラム発表にゲストとして現れたティエレがデモンストレーションをしたが、関節が外れているのではないかというような動きを見せていたのが印象的。今年の超人気者だ。一方、ここでしか見られそうもないものは、売れっ子のシディ・ラルビ・チェルカウイが演出をするというダンステアトル「OoK」。フランスの地方の劇場もがんばっているので、観光で訪れたら劇場チェックも抜かりなく。
CCNバレエ・プレルジョカ—ジュ
エクサンプロヴァンスに本拠地を置いて10年が経ち、国立振付けセンターの新しい建物「パヴィヨン・ノワール」が完成し、落ち着いて年間プログラムを発表出来るようになったようだ。このこけら落としの10月20日には、夕方から何人ものダンサーや振付家を招待してのパフォーマンス、そしてプレルジョカージュの「四季…」、映画上映などが予定されている。そして年間プログラムでは、プレルジョカージュ自身の作品以外に、フレデリックフラマン、ジャン=クロードガロッタ、マギーマラン、ティエリーベエなどの作品が予定されている。エクサンプロヴァンスにダンスアエックスがなくなってしまったのは非常に残念だが、CCNで面白い企画を組んでくれる事を期待する。
リヨン・オペラ座
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リヨン・メゾン・ド・ラ・ダンス
毎年強力なプログラミングのリヨン・メゾン・ド・ラ・ダンス。9月はビエンナーレと重なるのでさらに強力だ。10月にはエイフマン・バレエ・シアター、ガロッタの新作、11月にはパワフルフラメンコのメルセデス・ルイズ、ティエリー・ベエの「ジョーナル・ダンキエチュード」は好きな作品の一つ。そして世田谷パブリックシアターとの提携公演で日本人も出演するナジの新作「遊」、ロビン・オーリンとソフィアトウ・コッソコのコンビは、劇場の中にどうやって滝を作り、どうやって観客を踊らせるか、その手法が楽しみ。夢のあるアクロバット芝居で有名なサーカス集団シルック・プリュームはお勧めだし、マリア・ドナタ・ドウルソの幻想的な身体表現を見た後はフーファ・ディモビリテを見て笑うもよし。どんどん作品が変わっているらしいジェローム・ベルとピチェット・クルンチュン、エミオ・グレコにクルベルグ・バレエ団、重力を失ったかのような作品のマチュラン・ボルズやジェームス・ティエレなど、どれも見逃せない。リヨンはパリからTGVで2時間。グルメの町でもあります。
ロレーヌ/ナンシーバレエ団
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クオーツ/ブレスト国立劇場
毎年3月のダンス・フェスティバル・アンティポードは有名だが、年間プログラムもなかなか刺激的。やる気のある人は、レジデンスもしているので、ディレクターにアタックしてみては?
ダンス・ア・リール
パリからたったの2時間で行ける町リール。昨年ジムナーズという立派な建物が完成して、ダンスが更に活発になりそうだ。リールはダンスだけでなく、様々なアーティストが住む芸術の町なので、一度は行ってみてください。サイトは、最初のページのLILLEをクリックした後、SPECTACLEをクリックするとダンスの項目が出てきます。なお、ダンス・ア・リールにはもうひとつサイトがある。アドレスはhttp://www.dansealille.com
モンペリエダンス
夏のフェスティバルが大きく目立つが、年間プログラムだってちゃんとあります。フランス3大都市のひとつなので、立ち寄る価値はあります。
アルル劇場
ちょっと今年のプログラムは気になる。ここのディレクターが時間と距離を惜しまず探した結果であろう、芝居、ダンス、サーカスなどが充実している。アルルは世界遺産に指定された古代劇場がある小さな町だが、昼は観光で歴史の流れを感じ、夜は劇場で現代の流れを見るのも良いかも。